Rigel リゲル

掲載日:2019/1/21 (更新日 2019/1/21)

Vol.4

散歩がてら立ち寄れるお店のひとつになりたい 

 

甲府市中央、青いドアとショーウィンドーから見える星のランプが印象的なお店「リゲル」。

オープンから1年を迎えるリゲルのジュエリークリエーター手塚順子さんと平井クミさんにお話を伺いました。

 

ものづくりが好きだからできたこと

2018年2月にオープンしたリゲルは、ジュエリークリエイターの手塚順子さん、平井クミさんと皮製品作家の保泉房枝さんが立ち上げたジュエリーと革のクラフトショップです。

 

リゲル外観C

 

3人の出会いは、甲府市が応援するクリエイター向けのチャレンジストア「甲府クラフトラボ(=以降ラボ)※1」に出展したことからはじまりました。

それまでは、それぞれイベントやマルシェなどに出店しながら、もの作りを続けていたそうです。

 

「出店したイベントでお客様から『作品を取り扱っているお店はないの?』というお問い合わせが増えてきた時期に、ラボに出展しないかと声をかけていただきました。ちょうど作品を展示できるスペースが欲しいと思っていたこともあり、出展を決めました。」(平井さん)

 

「将来、自宅の一室にショップを開けたらいいなくらいの漠然とした想いはあったのですが、ラボで起業について学んでいくうちに、お店を開業するということを具体的に考えるようになりました。」(手塚さん)

 

リゲル手塚さん平井さん

(左)手塚順子さん (右)平井クミさん

 

甲府クラフトラボでは、新たなお客様や仲間との出会いにも恵まれましたが、出展期限は1年半。その期限が迫ってきました。

 

「せっかく出会えたお客様や仲間とバラバラになってしまうのは残念だし、もったいないなと。自分たちの作品を通して、新たに繋がる場所、集える場所を作りたいと思いました。」(手塚さん)

 

※1  甲府市を代表する地域資源であるジュエリーを活用し、甲府市中心市街地へのジュエリー・クラフト関連店舗の集積や、雇用の創出を図ることを目的に、甲府市が民間事業者に委託し、運営する店舗

 

営んでいる人の顔が見えるお店に

甲府市中心街でお店を開いた理由

 

最初からお店を開くなら甲府の中心街でと考えていたお二人。

 

「ラボに参加してみて、甲府の中心街の面白さに気付いたのです。昔から続くお店から最近できたお店まで、個性的で面白いお店が増えてきて、これからの街なのではないかと思いました。」(手塚さん)

 

「散歩中、ふと入った路地裏に今まで知らなかったお店を発見するとか、そういうワクワクする感じってありますよね。

まさに甲府の中心街は、新しい発見を楽しめるエリアだと思います。

散歩がてらに立ち寄れるお店も増えていますし、そんな街歩きを楽しむ方にとっても『発見のある』お店のひとつになりたいと思いました。」(平井さん)

 

 

リゲル オリオンイースト リゲル オリオンスクエア

▲リゲルの周辺も世代交代により、様々なお店が入ってきている。

 

甲府中心街も、店舗の老朽化、郊外型大型店舗の進出やネットショッピングの広がりなどによって、シャッターを下ろした店舗が目立った時期もありました。

しかし近年、老朽化した店舗をリノベーションしたカフェや雑貨店、セレクトショップなど小さいながらも個性豊かなお店が増えています。

 

「ネットをみれば情報はたくさん出ているし、欲しいものもすぐに手に入ります。それはそれでいいと思うのですが、やっぱり実際お客様と会ってお話することって大きいと思っています。」(平井さん)

 

「特に私たちの場合、オーダーメイドでの製作もしているので、直接お客様とお話するからこそ、一層喜んでいただけるものが生まれると思っています。

そんな営んでいる人の顔が見えるお店の多いエリアだから、ここで開業したいと思ったのかもしれません。」(手塚さん)

 

歴史を紡いできた店舗に一目ぼれ

 

中心街での開業に向け、動き出してまもなく現在の店舗との出会いが待っていました。

 

甲府クラフトラボからも近い、甲府中心街の一角にあったその物件は、昭和に建てられ、以前は喫茶店を営んでいたといいます。

 

「運命的というか、この店舗を見学した時に『ビビッ』ときました。『ここでお店をやりたい!』と。一目惚れでしたね。」(手塚さん)

 

その気持ちは、平井さん、保泉さんも同じでした。

 

「古くなったという理由で建物を壊すことは簡単です。でも歴史を紡いできた建物の味わいは、時間しか作り出せないもの。作りたくても簡単には作り出せない何かがここにあると思いました。」(平井さん)

 

リゲル内観B リゲル内観C

▲宇宙をコンセプトにした内観

リゲル内観E リゲル内観F

▲花が飾られ女性らしさが際立つ

 

資金的に潤沢とはいえない中、できるところは自分たちでと、開店までの2か月間で改装をすることになりました。

 

「店舗探しから改装までサポートしてくれたのが、合同会社まちづくり甲府※2の方々でした。」(手塚さん)

 

デザインや資材の調達、道具の貸し出し、施工指導などたくさんの方々のサポートを受けながら、外装から内装まで、ほぼ全ての工程を3人で行いました。

 

「自分たちだけでやり遂げたわけではなく、多くの方々にお手伝いしていただいたからこそオープンまでこぎつけたと思います。」(手塚さん)

 

リゲル入口タイル

▲店舗入口のタイル張りの「RIGEL」は、平井さんと息子さんで共作。店内で使用したタイルの余りを再利用。

 

「それぞれ家庭を持っていますから、家事育児・仕事・ラボ・改装工事が同時進行する、とにかく濃密な2か月間でした。開業に向けて不安がないわけではなかったですが、それよりもなによりも無我夢中。勢いもありましたけど、仲間もいましたから、励まし合いながら駆け抜けた感じです。」(手塚さん)

 

「『店舗が完成した!』と思ったら、次の日には作品を並べなければならなくて。『そこ、すっかり忘れてた!』と。早々にクラフトラボから台車で作品を運びこみました。」(平井さん)

 

リゲル談笑

▲当時の様子を笑顔で語り合う手塚さんと平井さん。

 

駆け抜けた2カ月間。ふたりとも口をそろえておっしゃいます。「すごく大変だったけれど、物づくりが好きだからこそできたと思います。」

 

2018年2月2日、満を持してリゲルはオープンの日を迎えました。

 

※2  合同会社まちづくり甲府:甲府中心街への出店を希望する方の物件探しから改装・修理、補助金・融資の相談までサポート。サイトアドレス:http://www.genkinamachi-kofu.com/

 

 

お客様ひとりひとりに合ったオンリーワンを見つけ出す

 

作家が作った商品を仕入れて販売するスタイルが一般的な中、リゲルの販売方法は珍しいと言えます。

 

「リゲルでは製作した作家が直接お店に立って販売していますので、お客様のご要望に合わせ、オーダーメイドから調整、修理まできめ細かい対応をさせていただいています。」(手塚さん)

 

オーダーメイドというと、ちょっと敷居が高く感じてしまいますが。

 

「そうかもしれません。でも私たちのイメージは、小さい頃、お母さんに洋服を作ってもらった時の感じというのでしょうか。こうしてほしい、ああしてほしいといろいろわがままを言ってもお母さんがにこにこしながら作ってくれる、自分だけの洋服。そんな気持ちまで温かくなるようなジュエリーをお届けしたいですね。」(平井さん)

 

「例えばネックレスの長さなど、既製品ではサイズが統一されているため、体型によって見え方が変わってしまいます。私たちはハンドメイドで製作しているので、お客様ひとりひとりに合わせて一番いいバランスに仕上げることができるのです。」(手塚さん)

 

実際、「この洋服に合うデザインのアクセサリーが欲しい」というお客様には、洋服をお店に持ってきていただいて、フィッティングしながら製作することもあるそうです。

 

リゲル ソノリテ E リゲル ソノリテ A

 

リゲル ソノリテ C リゲル ソノリテ B

▲手塚順子さんのジュエリーブランド「Sonorite」の作品

 

自分へのご褒美として、また大切なパートナーへのプレゼントとして依頼するお客様も多いといいます。

「男性はアクセサリーの使い勝手などわからない方も多いので、アドバイスしたりすることも。」(平井さん)

 

「石選びの段階からお客様と一緒に相談しながら製作することで、その方の為だけの世界にひとつのアクセサリーを作っています。お客様が想像していた以上に素敵だと思っていただけるようなアクセサリーを作っていきたいですね。」(手塚さん)

 

大量生産大量消費の時代。これだけ物が溢れている時代ですが、本当に欲しいと思ったものが、お店やインターネットで探してもなかなか見つからないということが多いのも事実。

こういう時代だからこそ、リゲルは自分にぴったりくるものを提供できる場になりたい。気軽な感じで欲しいものを探す。自分にピッタリなものを選ぶ。そして楽しんでもらいたい。そんな雰囲気のお店になることを目指しているそうです。

 

「私たちよりも先輩のお客様も多いです。もちろんお友達同士やご姉妹とかで来店いただけるお客様もいます。子どもの頃、宝箱を広げてみんなでキャーキャー言っていた楽しい時間。あの時間をリゲルで過ごしていただけてたら良いなと思っています。」(平井さん)

 

お客様の無邪気な姿や、好きなものを思う存分楽しむ姿が、リゲルの原動力になるのです。

ただ売っているのではなく、その人の事を考えて石から選ぶのはとても素敵なこと。商品ありきのお客様ではなく、お客様ありきの商品でありたい。それがリゲルのあるべき姿なのです。

 

働く女性としての原動力

これからのリゲルについて

 

オープンから1年近く経ち、今後の課題も見えてきました。

 

「もっと『リゲル』を知ってもらうことが課題だと思います。口コミなどで少しずつ広がっていますが、『えっ、ここにお店があったの?』という方が大半です。」(手塚さん)

 

「時々、県外から観光に来て入る方も立ち寄られるのですが、ここにきて山梨のジュエリーをお土産に買っていこうと思ってもらえるような、山梨にこんなものがあったんだという発見のあるお店になりたいですね。」(手塚さん)

 

「洋服は東京に買いに行くけど、ジュエリーはここで買うって決めているの」と言ってくださる県内のお客様もいるそうです。

 

「まずは広く知られるようになり、『山梨から東京に買い物に行く』のではなくて、『リゲルがあるから東京から山梨に行こう』と思ってもらえるようなお店にしたいですね。」(手塚さん)

 

「ゆくゆくはそれがもっと広がって、地方(遠く)からもここにきて幸せな気持ちになって帰る。他の目的のついでではなくて、観光の目的になるようなお店になったらいいなと思います。」(平井さん)

 

それが今のリゲルの目標です。

 

お客様と直接接することで、見えてきたこともいろいろとありました。

 

「私はジュエリーメーカーに勤務しているのですが、メーカーだと直接お客様にお会いできる機会はそんなにありません。ここで1対1でお客様とふれ合っていると、身に着けて喜んでくれた時の笑顔に元気をもらっています。やっぱり喜んでもらえるのがうれしいのです。」(手塚さん)

 

コミュニケーションをとらなくても成り立ってしまう世の中で、わざわざお店を構えてこの空間を持っているからには、まずはひとりでも多くの方にお会いしてこの魅力を伝えていければと思っているといいます。

 

「同じようなものを好きな人同士って、話しているだけでも楽しくなるじゃないですか。お客様とお友達になって話しているような、そんな体験からアイデアや元気をもらっている。ハッピーな気持ちになれる。物を提供するだけの場所ではない、仕事をすることでいろいろと頂いていると感じる毎日ですね。」(平井さん)

 

来店されたお客様同士が仲良くなったり、それぞれのお客様だった方がどちらの作品もお使いいただいていることも多いそうです。

 

リゲルを通して、違った「好き」にも会える。まさに可能性を広げていく、物と人を繋げていく場になっています。

 

リゲルPresents PassesD リゲルPresents PassesB

 

リゲルPresents PassesA リゲルPresents PassesC

▲平井クミさんのジュエリーブランド「Presents Passes」の作品

 

そして、クラフトラボに参加し、お店をオープンする過程で生まれてきたバイタリティ。

育児、家事、仕事、時間が制限されているなかで、やりたい事をどうやったらできるのか、考えて動くということ、好きなことがあるから頑張れると感じているそうです。

 

「始める前はなかなか躊躇して、始めの一歩が出ないと思うのですが、意外と一歩踏み出してしまえば、あとはやるしかない。そうすると出来るのですよ。

限られた時間の中で、やりたいことをどうすればできるかと考えて、動く時のエネルギーは濃いなと思いますね。」(平井さん)

 

女性ならではの視点、同性だからわかる気持ちを大切にして、女性が喜ぶ顔が見たいという想いも大切にしているそうです。

ジュエリーにその想いを込めるのはもちろん、たまには違った企画でサービスを提供したり、美味しいコーヒーを出してあげたり、とにかく来た人を元気にしてあげたいと考えているそうです。

 

働いている女性にも来て欲しい。そのために、月末金曜プレミアムフライデー企画もはじめました。お仕事帰りに、飲み会の後に、ぜひ立ち寄って欲しいと通常より営業時間を延長してお店を開いています。

 

 

リゲルマルシェA 

▲中心街で開かれる第2土曜市や各地で行なわれるマルシェなどに今でも出店している。

 

お店だけではなく、活動の原点となった中心街で開かれる第2土曜市やマルシェなどに今でも出店しています。

こういったイベントに出店することで、出来るのが他のお店とのつながり。

横のつながりもできたことで、みんなで甲府の中心街を盛り上げて行こうというイメージの共有化もできてきました。

 

県外からの移住者でもあるおふたりにとって、甲府の街の印象は、狭いところになんでも全部ある、生活するのにすごく便利なコンパクトな街だということ。子育て、公園、学校、全てにおいて住みやすい街だと感じているそうです。

そんな女性に優しい街「甲府」で、商売を問わず女性が活躍できるような状況が作れれば、甲府市中心街は、もっと元気になるんじゃないかと考えています。

 

リゲル内観D2

▲店内の一角を県内のクリエイタ―の発表の場として提供を始めた。

 

そういったアイデアを形にするために、店内の一角を県内のクリエイタ―の発表の場として提供を始めました。

「作家にとってもお客様にとっても新しい出会いが生まれる場所になるとうれしいですね。」(手塚さん)

 

女性クリエイターの夢や希望をのせてはじまった「Rigel(リゲル)」は、その名前の通り、これからも甲府の中心街で一際明るく輝き続けるのです。

 

リゲル内観G リゲル内観H

 

 

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INFORMATION

Rigel リゲル

企業名/Rigel(リゲル)
所在地/〒400-0031 山梨県甲府市丸の内1-13-6
電話/080-3431-1136
ホームページ/http://rigel2018.deci.jp/
営業時間/水木金土日 11:00~18:00
定休日/月火